ヒット商品は優れたネーミングから!
ヒット商品はネーミングのヒントの宝庫です。
今回はお菓子のランキングからネーミングを見てみましょう。
さすがにどれも馴染みがありますね。
- 亀田製菓「亀田の柿の種」6袋詰190g
- ブルボン「アルフォート」ファミリーサイズ199g
- 不二家「カントリーマアム」バニラ&ココア20枚
- 明治「チョコレート効果」カカオ72% 大袋225
- ネスレ日本「キットカット」ミニ14枚
株式会社マーチャンダイジング・オン (mdingon.com)
2022年4月のお菓子の売り上げランキングより
造語か?品質表示か?
これらの5つのネーミングは次の2つのグループに分けることができます。
「造語」グループ~その商品のために作られた新しいオリジナルの言葉
- アルフォート
- カントリーマアム
- チョコレート効果
- キットカット
「会社名+品質表示」グループ~会社名と商品の内容を示す一般的な言葉を組み合わせたもの
- 亀田の柿の種(亀田+柿の種)
実は「柿の種」は「小さな細長い粒状(柿の種状)のあられ」を意味する商品の内容を示す一般的な言葉なんです。
「柿の種」は当初は造語だったものが、様々な製菓会社で商品の名称として使用された結果、「柿の種状のあられ」を示す一般的な言葉になっていったものだと考えられます。
「造語」のメリット・デメリット
「造語」のメリットは、商標登録することにより、そのオリジナルの言葉の使用を独占することができるところです。例えば、「チョコレート効果」を「チョコレート」分野で商標登録することにより、他者が「チョコレート効果」を使ってチョコレートを販売することはできなくなります。
一方、デメリットとして、「造語」はオリジナルの言葉ですから、それを考え出すのに労力が必要となることが挙げられます。
「会社名+品質表示」のメリット・デメリット
「会社名+品質表示」のメリットは、商品の内容をわかりやすく伝えることができるところです。「柿の種」の表示をみれば、商品が柿の種粒状のあられであることがわかります。
一方、デメリットは、商品の内容を示す一般的な言葉部分は独占できないところです。
例えば、「亀田の柿の種」でいえば、「柿の種」部分は独占できません。
その結果、「Aの柿の種」、「Bの柿の種」、「Cの柿の種」といった感じで、「〇〇の柿の種」の「〇〇」部分を変えれば誰でも使用できるのです。
実際に、「柿の種」という言葉を含む複数の商標が菓子の分野で商標登録されています。
商標登録第4991187号
権利者:亀田製菓株式会社
商品分野:「菓子及びパン」他
商標登録第6108641号
権利者:有限会社磯笛
商品分野:「柿の種状のあられ,柿の種状のあられを使用した菓子」
商標登録第4688495号
権利者:越後製菓株式会社
商品分野:「柿の種形状を呈する米菓」
※越後製菓株式会社のマークが会社名に相当する、「会社のマーク+品質表示」のパターンです。
ロングセラー商品に育てるには造語がおススメ!
以上のように、「造語」、「会社名+品質表示」どちらにもメリット、デメリットがありますが、弁理士としての立場からは「造語」のネーミングをおすすめします。
なぜなら、「造語」のほうが、ロングセラー商品を作るためのブランド化がしやすいためです。
「会社名+品質表示」は、人気が出てくると「品質表示」部分が共通する似たような名称が出現してきて、多数の中の一つになってしまい、類似品に埋もれてしまいがちです。
一方、「造語」は商標登録によりオリジナルの言葉を独占できるので、類似の名称の乱立を防ぐことができ、独自のブランドを確立しやすいといえます。
とはいえ、どちらを選択するかは、市場の状況などによって変わってくると思います。
例えば、もし「つじのか製菓」が既にチョコレートメーカーとして有名である状況で、新たにアイスクリームを発売するのであれば、チョコレートでのブランド力を活かして「つじのかのチョコレートアイス」、すなわち「会社名+品質表示」のネーミングとするのも有効だと思います。
今回はネーミングのつくり方について、造語か?品質表示か?というお話をしましたが、次回は「造語」のつり方について考えてみようと思います。お楽しみに!
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