商標登録出願をする際に出願する商標選びに困ったことはありませんか?
商標のバリエーションが多い場合はどれを選んだらよいのか迷いますよね。
例えば、マークと文字を組み合わせたロゴのマークと文字の配置に縦バージョン、横バージョンがあったり、色も、1色、2色バージョンや色違いバージョンがあったり・・・。
かといって、商標登録手続は費用もかかることですから、すべてのバリエーションの商標を出願する訳にもいきません。
そこで、そんなときに役立つ出願する商標を選ぶポイントをお伝えします。
ポイントは2つ!
出願する商標を選ぶポイントは次の2つです。
- ポイント1:使う頻度の高い商標を選ぶ!
- ポイント2:要素は少なく!
以下、2つのポイントについて説明します。
ポイント1:使う頻度の高い商標を選ぶ!
最も重要なポイントは「使用頻度の高さ」です。
その理由は「不使用による取消対策」のためです。
商標登録後3年間、登録した商標を使用していないと、他人から不使用取消審判を請求されて商標登録が取り消されることがあります。
他人から不使用取消審判を請求された場合、登録商標を使用している証拠が提出できれば、不使用による取消を回避することができます。
しかし、もし証拠として提出した商標が、登録商標を変形したものだったり、一部を省略したものだったりすると、登録商標の使用ではないとみなされ、不使用により商標登録が取り消されてしまう可能性があります。
そこで、使用頻度の高いものを商標登録しておけば、万が一、不使用取消審判を請求された場合にも登録商標の使用の証拠が提出しやすくなります。
例えば、下記の4つの配置のバージョン中で、最も使用頻度の高いのが「タテ(1)」であれば、「タテ(1)」が出願商標の有力候補になります。
ポイント2:要素は少なく!
次に重要なポイントは出願商標に含まれる「要素は少ない方がいい」ということです。
マークと文字のロゴであれば、マークと文字は別々の商標とすることをおすすめします。
その理由は「他人の模倣対策」のためです。
他人が商標を真似してくる場合、まったく同じ商標を使用するケースは多くありません。
全体の雰囲気を似せつつ、どこか一部を変更してくるケースが多いと思います。
そのような一部を変えた模倣に対しては、マークと文字を別の商標として登録しておいたほうが効果的です。
例えば、A社、B社がそれぞれ文字部分、マーク部分に変更を加えた模倣ロゴを使用したケースを考えてみます。
【マークと文字を別の商標として登録した場合】
A社に対しては「マーク」のみの登録商標に係る商標権、B社に対しては「文字」のみの登録商標に係る商標権で対抗できます。
【マークと文字を一つの商標として登録した場合】
一方、マークと文字を一つの商標として登録した場合、すなわち登録商標が「マーク+文字」の場合、登録商標とA社、B社の商標とは部分的に共通していますが、A社は文字部分(Tsuki_no_uta)、B社はマーク部分が異なるため、商標全体を比較すると類似しないと判断され、商標権の効力が及ばない可能性が出てきます。
このように、他人の模倣対策を考えると、登録商標の要素はなるべく少なく、例えば、マークのみ、文字のみにするのが効果的です。
ただし、マーク部分または文字部分に識別力がなく、マークのみ、文字のみでは商標登録できないケースもありますので、その際はポイント1の「使用頻度の高さ」で出願商標を選択するのがよいと思います。
出願商標を一つに絞りこまなければならないときは・・・
ポイント2でマークと文字を別々に商標登録したほうがよいといいました。
とはいえ、予算の都合で出願する商標を一つに絞り込まなければならないケースも多いはずです。
そんなときは、ポイント1に戻って、「使用頻度の高いもの」を選ぶのがよいと思います。
色のバリエーションがあるときは・・・
また、色のバリエーションがあるは、複数の色のバリエーションのうち「使用頻度の高いもの」を選ぶとよいでしょう。
商標法には下記の規定があり、色彩のみ異なる商標は「登録商標」と同一に取り扱われますので、色違いの商標にも商標権の効力が及び、一つの色で様々な色違いの商標に対応できるためです。
商標法70条1項 「登録商標」には、その登録商標に類似する商標であつて、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものを含むものとする(70条1項)。 |
出願前の調査を忘れずに!
出願する商標が決まったら、出願する前にその商標が登録できない商標に該当しないかどうかの調査を忘れずに行ってください。
特に「他人の登録商標と同一又は類似の商標」に該当するという拒絶理由は、経験上多いものの一つであり、事前の調査により回避可能な場合が多いので、忘れずに確認してくださいね。
出願・登録されている商標はこちらのサイトで調べることができます。 特許情報プラットフォーム|J-PlatPat [JPP] (inpit.go.jp) |
↓ 商標登録手続の流れについてはこちらをどうぞ!
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