商標登録では、登録証が届くと手続はひとまず終了です。
しかし、これがゴールではありません。
いざというときに、他人の紛らわしい商標の使用の排除などの商標登録の効果を享受するためには、登録後の管理が重要であり、特に、取消リスクに備える必要があります。
「ビックマック」が取り消される!
先日、マクドナルド社の登録商標「ビックマック」がEUで取り消されたとの報道がありました。
取り消された理由は、マクドナルド社が「ビックマック」を使用していなかったというものです。
マクドナルド、「ビッグマック」のチキン版で商標権失う-EUで判断(Bloomberg) - Yahoo!ニュース 「チキンビッグマック」の商標権認めず マクドナルドがEUで敗訴(AFP=時事) - Yahoo!ニュース |
これには、全世界で使われている「ビックマック」がどうして?との疑問が生じます。
そこで、記事をよく読んでみると、商標登録が取り消されたのは「チキン製品」についてのみであり、「ビーフ製品」については「ビックマック」の使用が認められ、商標登録は維持されています。
チキン版のビッグマックは、EUでは定番商品ではなく、EU域内で5年間継続して「チキン製品」に「ビックマック」を使用していることを示す証拠を出すことができなかったようです。
「不使用取消審判」制度
上記の「ビックマック」はEUでの話ですが、登録商標が一定期間使用されていない場合に商標登録が取り消される制度は日本にもあります。
それは、「不使用取消審判」制度です。
「不使用取消審判」請求の日から過去3年間、日本国内でその登録商標が使用されていないと、その商標登録は取り消されてしまいます。
他人から「不使用取消審判」を請求された場合、商標権者が審判請求の日から過去3年以内に、登録している指定商品・指定役務について登録商標を使用していた証拠を提出できれば取消を免れることができます。
しかし、登録商標をきちんと使用しているつもりでも、実際に使っている商標が登録商標とは異なっていたり、商品・サービスが登録している内容とズレていたりすると取り消されてしまうことがあります。
定期的な見直しを!
ロゴのデザインを流行のものに変更したり、売れ筋商品が変わることはよくあることです。
商標登録は登録証が届いて終わりではなく、「商標は変わっていないか?」、「商品・サービスはズレていないか?」を定期的にチェックして、場合によっては新たな商標登録を行うなど、ビジネスの実態に即した状況にすることが重要です。
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