こんにちは。つじのか国際商標事務所の弁理士の杉田です。
今回は起業を考えている方からのご相談で、特に混同されるケースの多い「商標権」と「著作権」の違いについて解説します。
事業の初期段階で正しい知識を持つことで、あなたのビジネスをしっかりと守り、安心して成長させる基盤を築きましょう!
1.知識がビジネスを守る
起業を考えている皆さんにとって、事業を立ち上げる際のアイデアやブランドは、まさに「自分らしさ」を表現する大切な資産です。
ロゴ、商品名、パンフレットのデザインなど、事業の基盤となる要素は多岐にわたりますが、これらをきちんと守るための法的な知識を持つことは、ビジネスの成長に欠かせません。
しかし、商標権と著作権について「どちらも知的財産権だから同じようなもの」と混同されるケースをよく耳にします。このような誤解が原因で、トラブルが生じることもあります。
例えば、こんな事例です。
- 事例: オリジナルの店名を考えたが、その店名は著作権で守られると思い、商標登録の手続をしていなかったところ、他社に先に登録されて使用できなくなった。
こうしたトラブルは、事前に基本的な法律知識を身につけていれば防げる可能性が高いものです。
この記事では、「商標権」と「著作権」の違いをわかりやすく解説し、それぞれがどのようにビジネスを守るのに役立つのかをお伝えします。
2.商標権とは?
- 商標権 :商品やサービスに付ける「マーク」や「ネーミング」などの商標を保護する権利
- 保護対象:文字、図形、記号、立体的形状など(例:「〇〇カフェ」の店名やロゴ)
- 取得方法:商標登録の手続きが必要(特許庁への出願)
- 保護期間:登録から10年(更新できる)
※詳しくはこちらをチェック→初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~ | 経済産業省 特許庁
3.著作権とは?
- 著作権 :芸術分野等におけるオリジナルの表現を保護する権利
- 保護対象:論文、楽曲、絵画、写真、映画、地図など(例:ウェブサイト上の文章や写真・動画)
- 取得方法:創作時に自動的に発生(権利取得のための手続は不要)
- 保護期間:創作の時から創作者の死後70年
※詳しくはこちらをチェック→著作権 | 文化庁
4.商標権と著作権の主な違い
商標権 | 著作権 | |
目 的 | 商品・サービスに付ける商標の保護 | オリジナルの表現の保護 |
対 象 | 名前(ネーミング)、ロゴなど | 文章、デザイン、写真、音楽など |
登録の手続 | 必要(特許庁に出願) | 不要(創作時に自動的に発生) |
保護期間 | 登録から10年(更新可) | 創作の時から創作者の死後70年 |
5.起業家が知っておくべきポイント
・商標権
- 店名・商品名やロゴをすぐに登録することを検討する(商標登録は早い者勝ちのため)。
- 他人に先に商標登録されてしまった際のリスクと対策を押さえておく。
・著作権
- 自社のパンフレットやウェブサイトのコンテンツが無断使用されないよう注意する(©などの著作権に関する表示を入れておく)。
- 他人の著作物を使用する場合の注意点(引用ルールや使用許諾)を押さえておく。
6.よくあるカン違いとトラブル例
・商標が著作権で守られると思っていたケース
独自に考えた造語の商品名をつけて販売していたが、商標登録しておらず他人に先取りされてしまった。
・著作権侵害を知らなかったケース
他社サイトの画像やテキストを無断で使用してしまった。
7.まとめと行動のすすめ
- 商標権と著作権の違いを理解し、自分のビジネスをしっかり守る。
- 早めの商標登録の検討と、著作権侵害を避けるための基本知識を実践する。
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