果実のブランド化戦略として、果実の名称に登録商標の使用が増えていることを以前ご紹介しました。
今回は第2弾として、まだまだ数は少ないものの穀物で登録商標を活用している例をご紹介します。
登録商標活用のメリット
活用例をご紹介する前に、登録商標の活用のメリットをおさえておきましょう。
登録商標活用のメリットは、ずばり「保護期間の長さ」と「分野の広さ」です。
メリット1:保護期間の長さ
「品種登録制度」に基づく育成者権は25〜30年で消滅するため、登録品種名は一定期間が経つと誰でも使える名称となります。
一方、「登録商標制度」に基づく商標権は、更新すれば半永久的に存続させることができるため、更新により商標権が存続する限りは、商標権者が登録商標の使用を独占でき、その使用をコントロールすることができます。
メリット2:範囲の広さ
登録品種名の範囲は種苗、収穫物及び一定の加工品のみです。
一方、登録商標の範囲はこれらに限定されませんので、育成者権でフォローされない加工品やレストラン、観光農園などのサービス分野で保護することができます。
穀物における登録商標の活用事例
シルクスイートⓇ(さつまいも)
「シルクスイート」は、「春こがね」と「紅まさり」という品種を掛け合わせて、カネコ種苗が育成した登録品種「HE306」の名称です。
水分が多く、食感が絹のようにしっとり滑らかに焼き上がることが名前の由来です。
信州ひすいそばⓇ(そば)
「信州ひすいそば」は、長野県が育成した登録品種「桔梗11号(長野S11号)」の名称です。
「ひすい(翡翠)」を連想させる鮮やかな緑色が特徴が名前の由来です。
「信州ひすいそば」(長野S11号)には栽培基準が定められており、県に栽培計画書を提出する必要があります。また、「信州ひすいそば」の名称を使用できるのは、信州ひすいそば振興協議会の会員のみとなっています。
信州ひすいそばについて/長野県 (nagano.lg.jp)
備中夢白小豆Ⓡ(小豆)
「備中夢白小豆(びっちゅうゆめしろあずき)」は、岡山県が育成した登録品種「岡山 ADZ1号」の名称です。
小豆といえば、茶色がかった赤紫色を思い浮かべますが、こちらは白色の小豆で、従来の品種に比べて、大粒で風味、つや、舌触りに優れており、国内最高級の白餡の原料として使用されているとのことです。
ラー麦Ⓡ(小麦)
「ラー麦」は、福岡県がラーメンのために開発した登録品種「ちくしW2号」の名称です。
麺にした時に、「コシが強い・歯切れがいい・色がいい」といったラーメンに適する特長を持っており、ラーメンなどの中華麺のほか、もつ鍋の〆の麺にも使用されているとのことです。
名称は、約1600点の応募の中から、覚えやすい、響きが良く親しみやすいなどの理由から決定されたとのことで、ロゴマークも作られています。
「ラー麦」及びロゴマークの使用には商標使用申請が必要となっています。
ラーメンのために生まれた麦「ラー麦」 - 福岡県庁ホームページ (fukuoka.lg.jp)
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