今回は、商標登録しようと思ったときに必ず考えなければならない、出願人(商標権者)を誰にするかのお話です。
「個人」か「法人」かの2択
先日お客様から「屋号で出願したい」とのご要望がありましたが、残念ながら「できません」とお答えしました。
なぜなら、出願人(商標権者)になることができるのは、「個人」か「法人」かのどちらかのみのためです。
個人事業主の場合
法人化していない個人事業主が屋号を出願人とすることはできません。
そのため、個人事業主が商標登録出願する場合は、個人を出願人とすることになります。
✕ 法人格のない屋号「つじのか国際商標事務所」を出願人とすることはできない。 →個人「杉田基子」を出願人とする。 |
同好会、サークルなどのグループの場合
法人格のない同好会やサークルなどのグループが出願人となることはできません。
そのため、グループの構成員、例えばリーダーなどの個人を出願人とすることになります。
✕ 法人格のない「つじのかボランティアサークル」を出願人とすることはできない。 →構成員個人「杉田基子」を出願人とする。 |
法人設立前は?
新会社や新商品の名称を法人設立前に出願したい場合もあると思います。
その場合は、まずは個人(例えば社長就任予定者)を出願人とします。
そして、法人設立後に出願人を個人から法人に変更します。
なお、商標登録された後でも商標権者を個人から法人に変更することができます。
商標を使う主体を出願人(商標権者)にするのがベスト
出願人(商標権者)は、出願する商標を使う主体にすることがベストです。
ですので、もし会社が販売する商品の商標であれば、会社を出願人(商標権者)とするのがよいでしょう。
その理由は主に次の2つです。
- 他人の商標権侵害行為について、商標権者が個人の場合、会社に発生した損害の賠償請求が難しくなる可能性があるため。
- 他人から不使用取消審判を請求されたとき、商標権者が個人の場合、商標を使用していないと判断されて商標登録が取り消されるリスクがあるため。
※不使用取消審判は、商標権者が3年間商標を使用していないとし、第三者が商標権の取り消しを求める請求のこと。
なお、諸事情により個人が商標権者となる場合、商標権者(個人)と会社の間で登録商標の使用についてライセンス契約を締結することで上記2のリスクを解消することができます。
↓ こちらもどうぞ!