今年4月の法改正については昨年12月のブログで商標法改正についてご紹介していますが、今回は不正競争防止法の改正のお話です。
メタバースといった仮想空間の活用が進み、デジタルとリアルの境目があいまいになるなか、デジタル空間上の商品の保護が強化されることになりました。
改正の背景
デジタル技術の活用により、特に中小企業・スタートアップの事業活動が多様化していることに対応するため、ブランド・デザイン等の保護強化の必要性が高まっています。
また、デジタル空間上でも様々な商品が販売されるようになり、有名ブランドの商品によく似たNFT商品が作られ訴訟が起きるなど、トラブルも増加しています。
そのような背景において、デジタルの商品をリアルの商品と同様に保護するために不正競争防止法が改正されることになりました。
新たに規制される行為
今回の改正により、不正競争防止法2条1項3号の条文に「電気通信回線を通じて提供」する行為が追加され、不正競争行為として規制される行為にデジタル空間上の形態模倣行為も含まれることになります。
現行法で規制されている行為
①リアルの商品を真似てリアルの模倣品を作り出す行為
法改正により規制対象となる行為
②リアルの商品を真似てデジタルの模倣品を作り出す行為
③デジタルの商品を真似てリアルの模倣品を作り出す行為
④デジタルの商品を真似てデジタルの模倣品を作り出す行為
施行時期
デジタル空間上の形態模倣行為が規制の対象となるのは、2024年4月1日予定です。
不正競争防止法2条1項3号の形態模倣行為は、衣服のように流行が早く商品サイクルが短い商品の保護のためのもので、保護期間は販売開始から3年を経過するまでです。
関連する不正競争防止法 |
2条1項3号 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為 |
19条 第三条から第十五条まで、第二十一条(第二項第七号に係る部分を除く。)及び第二十二条の規定は、次の各号に掲げる不正競争の区分に応じて当該各号に定める行為については、適用しない。 五 第二条第一項第三号に掲げる不正競争 次のいずれかに掲げる行為 イ 日本国内において最初に販売された日から起算して三年を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為 ロ 他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者(その譲り受けた時にその商品が他人の商品の形態を模倣した商品であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)がその商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為 |
↓ こちらもどうぞ!
登録可能な商標が広がる!-コンセント制度の導入 - 【商標登録】北海道 札幌の弁理士|つじのか国際商標事務所 (tsujinoka.com)
登録可能な商標が広がる!-フルネームを含むブランド名 - 【商標登録】北海道 札幌の弁理士|つじのか国際商標事務所 (tsujinoka.com)