特許庁は、審査の質についてのユーザーの評価調査を実施しています。
さて、ユーザーの評価調査とはどんなものなのでしょうか?
審査の質についてのユーザーの評価調査
「審査の質についてのユーザーの評価調査」は、出願人や権利を行使される第三者などのニーズや期待を適切に把握することを目的に、2012年(平成24年)から毎年実施されています。
現在、令和6年度の調査実施中で、調査対象者にはメールで回答フォームで回答するためのパスワードが送られてくることになっていています。
令和5年度の調査結果は?
商標に関する調査の令和5年度の回答者数は352件で、回答率は83.8%。
商標審査全般の質についての全体評価では、「普通」以上の評価の割合は93.5%、上位評価割合(「満足」・「比較的満足」の評価の割合)は52.0%、ということでおおむね好評といえると思います。
課題は「識別力の判断」と「審査官間の判断の均質性」
一方、項目別の評価をみると、「識別性の判断」と「審査官間の判断の均質性」の評価が比較的低くなっていることがわかります。
また、各項目の自由記入欄におけるコメント数も、「識別性の判断」と「審査官間の判断の均質性」に関するものが多いことがわかります。コメントの内容としては否定的なものが多く、識別性の判断の厳しさ、審査官による判断のぶれがある等の指摘がみられたとのことです。
最近の識別性の判断は?
「識別性の判断」については、最近の審決をみても、同じ「アロマ」を含む商標についても判断が分かれています。
識別力あり(不服2023-1981) | 商標「ダブルアロマ\Wアロマ」 指定商品「コーヒー,コーヒー飲料ほか」 |
識別力なし(不服2023-5118) | 商標「アロマミックス」 指定商品「洗濯用柔軟剤」 |
「識別性の判断」は、指定商品・指定役務との関係やその言葉の業界での使用状況が考慮されるため、統一的な判断が難しいことはわかりますが、担当審査官(審判官)が違えば登録されていたのでは?という疑念が生じないようになってほしいと思います。
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