商標登録しようとするとき、読み仮名の扱いに迷うことがあります。
最近では、訪日外国人観光客の増加を受けて、ローマ字で読み方を表す文字商標を使うことも増えていると思います。
今回は、商標登録の際の商標の読み仮名について考えてみましょう。
「漢字」+「特殊な読み方」のケース
弊所の名称「つじのか」は造語ですが、漢字で書くと「辻の花」となります。
「花」の文字は通常「はな」と読みますが、弊所の場合は「か」と読ませています。
このように、通常とは異なる文字の読み方をする場合の、「漢字」+「特殊な読み方」のケースを考えてみましょう。
「漢字」と「特殊な読み方」を別の商標とする
出願する商標を選ぶときのポイントは「要素は少ない方がいい」ということです。
例えば、マークと文字のロゴであれば、マークと文字は別の商標とすることをおすすめします。
その理由は「他人の模倣対策」のためです。
他人が商標を真似してくる場合、まったく同じ商標を使用するケースは多くありません。
全体の雰囲気を似せつつ、どこか一部を変更してくるケースが多いと思います。
そのような一部を変えた模倣に対しては、マークと文字を別の商標として登録しておいたほうが効果的です。
ということで、「漢字」+「特殊な読み方」の商標についても、「漢字」と「特殊な読み方」を別の商標とするのがおすすめです。
先程の例でいうと、「辻の花」と「つじのか」を異なる商標として出願するのがよいと思います。
なお、「つじのか」の読み仮名については、外国旅行者向けなど、ローマ字で使用することが多い場合は「Tsujinoka」とすることを検討してもよいかもしれません。
「特殊な読み方」を入れておく
「漢字」と「特殊な読み方」を別の商標とするのがよいとはいえ、予算的に一つに絞らなけれならないケースもあると思います。
その場合、「漢字」+「特殊な読み方」を一つの商標として出願することをおすすめします。
「漢字」だけの商標だと、「特殊な読み方」をフォローしきれない可能性があるためです。
例えば、「辻の花」だけを商標登録する場合、「辻の花」から生じる読み方が一般的な「つじのはな」となってしまい、特殊な読み方の「つじのか」はフォローされません。その結果、他人が出願した「つじのか」が商標登録されてしまうリスクが残ります。
使用頻度の高いものを選ぶ
「漢字」と「特殊な読み方」を別の商標とする場合でも、「漢字」+「特殊な読み方」を一つの商標とする場合でも、縦書き、横書きなど様々なパターンがある場合は、使用頻度の高いものを選ぶことが重要です。
その理由は「不使用による取消対策」のためです。
商標登録後3年間、登録した商標を使用していないと、他人から不使用取消審判を請求されて商標登録が取り消されることがあります。
他人から不使用取消審判を請求された場合、登録商標を使用している証拠が提出できれば、不使用による取消を回避することができます。
そこで、使用頻度の高いものを商標登録しておけば、万が一、不使用取消審判を請求された場合にも登録商標の使用の証拠が提出しやすくなります。
いずれにせよ、出願前には、同一又は似ている商標が登録されたり出願されたりしていないか調査してくださいね。
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