先日、下記のオンラインセミナーを受講しました。
「農業知財勉強会(第4回)【海外市場と侵害対応②(韓国・台湾・香港編)】」 令和4年10月12日(水)14:00~16:00 韓国・台湾・香港におけるイチゴ・主要果樹の市場規模や侵害リスク・侵害状況を説明するとともに、台湾・香港におけるイチゴ・主要果樹の日本品種の流通状況と好まれる特性等の解説 |
その中で台湾、中国、香港におけるイチゴなどの販売に関して、商標やネーミングに関する下記のような興味深いお話がありました。
- 日本のイチゴなどのネーミングが現地ではあまり商標登録されていない。
- 商標登録されていたとしても、現地では使われない漢字で商標登録されている例もある。
- 漢字圏では、平仮名よりも漢字の名称の商品のほうが人気が出やすい。
やはり、海外では日本とは異なる視点でネーミングを考える必要がありそうです。
そこで、今回は海外展開におけるネーミングの注意点を考えてみたいと思います。
海外では別のネーミングで販売されている例
日本ではおなじみのネーミングも、海外では様々な事情で変更しなければならかった・・・という例をご紹介します。
カルピス
「CALPIS(カルピス)」は日本初の乳酸菌飲料として100年を超えるロングセラー商品ですが、米国などの英語圏では「CALPICO」のネーミングで販売されています。
「CALPIS(カルピス)」の発音が「Cow piss(カウ ピス)」(牛のおしっこ)によく似ているためです。
当初は英語圏でも「CALPIS(カルピス)」で販売されていたようですが、消費者の反応が悪く変えざるを得なかったようです。
CALPICO® - fruity and refreshing popular Japanese beverage (calpico-usa.com)
ポッキー
1966年の販売から50年を超える「Pocky(ポッキー)」ですが、疾病などの外国語と響きが似ていることから、ヨーロッパでは「MIKADO」として販売されています。
なお、「MIKADO」は、ヨーロッパではポピュラーな細い竹ひごを使ったゲームにちなんで名づけられたとのことです。ミカド (ゲーム) - Wikipedia
パジェロ
2019年に国内生産が終了されたものの、37年間という長きに渡って世界中で販売されてきた「PAJERO(パジェロ)」は、スペイン語では「嘘つき」や「怠け者」のほかに、下品な意味のスラングとよく似ていてるため、スペイン語圏では「MONTERO」として販売されています。
ちなみに、イギリスでは「SHOGUN」として販売されています。
おさえるべきポイント
海外展開に使用するネーミングは、特に下記のポイントをおさえつつ、実際に販売に関わる現地のバイヤーさんなどの関係者に意見をきいて慎重に選択したいところです。
1.伝えたい意味が伝わるか?
単に現地の言葉に翻訳しただけでは、文化や宗教の違いから、ネガティブなイメージを与えるものになってしまうおそれがあります。
現地の言葉にしても、本来の意味が伝わるかどうかを確認する必要があります。
2.発音したときの語感がよいか?
現地の言葉で発音したときの意味もそうですが、発音のしやすさも、ネーミングの波及効果を左右する重要なポイントです。
3.見た目のイメージがよいか?
漢字圏では、平仮名やカタカナ、ローマ字のネーミングを漢字に当てはめることが多いのですが、その際には、漢字の持つイメージ(ポジティブなもの、商品を連想させるもの)を考えて選択します。
日本でも、平仮名、カタカナ、漢字、ローマ字のどれを選択するかでイメージが変わりますし、見た目は重要ですね。
4.商標登録できるか?
商標登録は国ごとに行う必要がありますので、すでに誰かに商標登録されていないかどうかを調査することが重要です。
万が一商標登録できないときは、別のネーミングの検討なども必要になります。
そして、商標登録はできるだけ早めに! 現地で実際に使用されるものを商標登録しましょう。
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