商標登録って手間も費用もかかりそうだけど、する意味って本当にあるの？
そんな疑問にお答えします！
自分の商標として安心して使い続けることができる！
まず、商標登録の意味として挙げたいのが、「自分の商標として安心して使い続けることができる！」ということです。個人的には、これがいちばん大きいと思います。
商標登録といえば、とかく他人に真似されたとき、すなわち模倣被害に遭ったときのため、と思われがちです。もちろん、それも重要なのですが、商標登録は、意図せず他人の商標権を侵害してしまうリスクを回避するためのものでもあるのです。
他人の権利を侵害してしまう可能性
商標権取得のためには、特許庁への出願の手続きが必要です。日本では、同一・類似の商標の出願があった場合、使用の有無にかかわらず、先に出願した者に登録を認める「先願主義」という考え方を採用しています。つまり、早い者勝ちです。そのため、商標登録を受けないまま商標を使用している場合、先に他人が同じような商標について商標登録してしまうと、その他人の商標権を侵害してしまう可能性が出てくるのです。
すなわち、商標登録しないで商標を使っている状態は、他人の商標権を侵害しているかもしれない、または将来侵害しまうかもしれないというリスクを常に抱えた状態なのです。
知らなかったは通用しない
もし侵害してしまったとしても、「知らなかったんだから仕方ないし、問題はないんじゃない？」と考えるかもしれません。しかし、知らなかったという言い訳は通用しないんです。
商標登録されている事実は、特許庁が発行する公報などで公開されているので、知っていて当然だとみなされるためです。
先使用権は認められにくい
また、商標の使用開始後に、他人が同じような商標について商標登録したケースでは、その商標の使用を継続できる「先使用権」が認められることがあります。しかし、「先使用権」が認められるのは、使用していた商標が既に商品・サービスを表すものとして需要者に広く知られているといった事情がある場合に限定されています。先に使用していれば必ず認められるものではないんです。
実際のところ、需要者に広く知られていることの証明は難しく、「先使用権」が容易には認められることはありません。さらに、「先使用権」が認められたとしても、商標の使用はその時点で需要者に知られていた範囲に限定されてしまいます。
そのため、このようなケースでは、将来のビジネス拡大を考慮して、商標を変更する事業者が多いのが実情です。
トラブルの影響は周囲にも及ぶ
商標を変更するとなると、看板、パッケージなどの作り替えはもちろんですが、新しい商標での再出発となりますので、費用と労力は相当大きなものになります。
また、商標のトラブルの影響は自分だけでなく、周囲にも影響を及ぼします。
商品の卸先や販売先はトラブル関連商品の回収や広告からの削除などの負担を強いられますし、場合によっては商標権侵害で訴えられることもあります。こうなると、関係者からの信頼を失ってしまい、再出発にも悪影響が出てしまいます。
このように、他人が先に商標登録してしまうというリスクを回避して、自分も関係者も安心して商標を使い続けられるという状況を作るという点で商標登録は大きな意味があります。
他人の紛らわしい商標の使用を排除できる！
商標登録の意味として、次に挙げたいのが、「他人の紛らわしい商標の使用をやめさせることができる」ということです。
ヒット商品が出ると、似たような商品が出てくるのが世の常です。
似たような商標を付けた類似品が出回るようになると、もはやどれが本物なのかわからなくなってしまいます。
しかも、類似品の品質が悪いと、その悪い評判が本物にまで及び、売り上げの低下を招き、共倒れになりかねません。
そんな状況を避けるためには、紛らわしい商標の使用をやめさせることが重要で、そのために必要なのが商標登録です。
商標登録していれば、商標権を行使して、紛らわしい商標の使用をやめさせることによってブランドを守ることができますし、損害が生じた場合には損害賠償を請求することができます。
商標権は財産です！
そして、商標登録により発生する商標権は売ったり貸したりできる財産権です。
商標権を他人に売ることもできますし、他人に商標の使用を許諾して、許諾料（ライセンス料）を得ることもできます。
フランチャイズなどのビジネスにおいて、商標登録は必須です。
また、商標権の存続期間は10年ですが、更新により半永久的に存続させることができます。
商標権は商標に対するわたしたちが抱く信頼や安心感といったブランドイメージを保護するものであり、そのブランドイメージは商標の使用期間が長ければ長いほど大きくなり、保護の必要性が高くなるため、更新できる権利になっているのです。
商標登録しないリスク！
それでは、商標登録しないリスクを考えてみましょう。
まず、他人に先に商標登録されてその商標が使えなくなってしまうリスクが考えられます。場合によっては商標が使えなくなるだけでなく、損害賠償を請求されるかもしれません。
実際のところ、先に商標登録する可能性のある他人には、同業者だけでなく、商標バイヤーも含まれます。商標バイヤーは、売れ筋の商品・サービスの商標が商標登録されていないことを確認したうえで、自ら商標登録し高い値段で売り付けてきます。
今はだれもがSNSで自社の商品・サービスを広告宣伝を気軽にできる便利な世の中ですが、それは、どこでだれが何を販売していて、その商品の商標が商標登録されているのかどうかが、簡単にわかるということなのです。
次に、似たような商標の類似品が出てきて、粗悪な類似品と共倒れしてしまうリスクが考えられます。
さらに、商標登録していないと、ビジネスの拡大が難しくなります。
フランチャイズはもとより、他社とのコラボレーションでも、商標登録していないと話は前に進みません。
商標登録でブランドを大きく育てる！
実はブランドづくりは、農業に似ています。
野菜を育てるとき、まず行うのが土づくりなどの育成に適した環境づくりではないでしょうか。
ブランドを育てる場合も同じです。
せっかくブランドの種をまいても、他人の商標権という大きな石があってブランドが根づかない。ブランドの芽が出てきたと思ったら、模倣品が乱立して日が当たらなくなって枯れてしまう・・・。
「商標登録」と聞くと「手間だな～」と思われるかもしれませんが、何かを育てるにはそのひと手間が重要だったり、あとあと効いてきたりするものです。
商標登録で、みなさんの商品が多くの人に長く愛されるブランドに育つための環境づくりをしてあげてください。
まとめ
商標登録の意味とは？ の要点をざっとまとめると・・・
● 商標登録により、他人が先に商標登録してしまうというリスクを回避して、自分も関係者も安心して商標を使い続けられるという状況を作ることができる！
● 商標登録していれば、商標権を行使して、紛らわしい商標の使用をやめさせることによってブランドを守ることができる！
● 商標権は財産権であり、他人に売ることもできるし、他人に商標の使用を許諾して許諾料（ライセンス料）を得ることもできる！
お役立ち情報
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